多変量解析

疫学における多変量解析とは, 複数の変数からある値との関係性を説明する場合や, 交絡因子を調整する解析方法として用いられるものである.
なお, 多変量解析は調査事後の交絡調整方法であるため, 測定した変数のみを式に組み込んでおり, 未測定の変数は交絡調整できない.

(例)

例えば, 肺がん検診で肺がんの有無と受診者に関する多数の背景(性別, 年齢, 職業, 所得, 喫煙歴など)との関係を調査する場合, 受診者の背景と肺がんの有無を説明するため, ロジスティック回帰分析を行う.
また, 多変量解析は, 検討する変数が多くなればなるほど説明の精度が上がるというわけではなく, 解析に投入されるすべての変数の分布(年齢のバラつきが極端に偏っていないかなど)の検討や, 解析するにあたり多数の前提条件が存在するため, 説明したい因子を十分に説明することは必ずしも容易ではない.

 

「佐々木 敏:はじめて学ぶやさしい疫学(日本疫学会監修), 改訂第2版, p83-88, 2010, 南江堂」より許諾を得て抜粋し転載.

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